4月13日(金曜日) 曇り 風強し 強い夕立 午前中、母に頼まれていた、車輪が破損して動きにくくなった網戸の車輪の交換作業を。うまくいくことがわかったので、もっと車輪を買ってきたいと思ってます。 遅ればせながらアメリカの作家カート・ヴォネガットが11日に亡くなっていたことを知りました。享年85歳。自殺せずにここまで生きられたということは、あなたの人生は大成功ですよ、ヴォネガットさん。 あまり自分の恥を晒すのもなんですが、青年期のぼくは自殺願望に凝り固まってまして。それから逃れるためだけという訳でもないけど、ヴォネガットの作品を読み漁りましたね。彼の人生に対する深い深い絶望感とユーモアが並存するスタイルは、悩めるぼくにとってずいぶんと救いになりました。ぼくは彼のようにユーモアのある小説は書けないかもしれませんが、絶望の中にありながらも人生を決して諦めずに生きる人の姿は書き続けていきたいと思っています。 ぼくが選ぶヴォネガットの長編ベスト5は『母なる夜』、『タイタンの妖女』、『スローターハウス5』、『チャンピオンたちの朝食』、『青ひげ』でしょうか。とりわけ、絶望の縁にあった前衛画家ラボー・カラベキアンが魂の救済を得る『青ひげ』のラストは大好きです。 “「(前略)ぼくの魂はどんな絵を描いていいかわからなかったが、ぼくの肉体はちゃんと知っていた」 サーシは咳ばらいした。「ねえ、そういうことなら、あなたの魂も、これまで長年のあいだ肉体のことをはずかしく思っていたけど、とうとうすばらしいことをやってくれたと、その肉体に感謝していいんじゃない?」 わたしはしばらく考えた。「それもいえる」 「実際にそうしなくちゃ」 「どうやって?」 「両手を前にさしだすのよ」と彼女はいった。「そのふしぎで利口な動物たちを愛と感謝の目でながめ、声に出してこういいなさい--『肉体よ、ありがとう』」 わたしはそうした。 両手を目の前にさしだし、心からの思いを声に出していった。--「肉体よ、ありがとう」 ああ、幸福な肉体。ああ、幸福な魂。ああ、幸福なラボー・カラベキアン。”(浅倉久志 訳) ヴォネガットさん、本当にありがとうございました。 午後、M先生宅に行きDVDの整理およびアルゲリッチ音楽祭のチケットを受け取り。 夕方、パン屋〔プチ・ミ●〕に寄ったところ、今日も憧れの彼女が話しかけてくれました。「今日は風が強いですねぇ」って。(笑) おう、バカにしてくれぃ。いいもん、こうして話しかけてくれるようになったんだから。って、おまえは高校生か。 夜、シネクラブ●ITAでオーソン・ウェルズの「マクベス」 (1948年 イギリス・アメリカ)を再見。 オーソン・ウェルズによるシェークスピアの映画化ではこの「マクベス」よりも「オーソン・ウェルズのオセロ」の方がズッと優れていると思いますが(というか、「オセロ」が凄すぎるのです)、こちらもオーソン・ウェルズお得意のワンシーン・ワンカットによる強烈なショットがバンバン出て来て、セットのチープさなどぶっ飛んでしまう強烈さ。ローレンス・オリヴィエが監督した「ヘンリー五世」だの「ハムレット」だの、オーソン・ウェルズの作品の前には裸足で逃げ出すという感じです。 帰宅途中、新刊古書店に寄り、DVD「トムとジェリー アカデミー・コレクション」と、ジャック・ヒギンズの『狐たちの夜』 (ハヤカワ文庫)を購入。前者が550円、後者105円。ジャック・ヒギンズの小説を買うなんて、何年ぶりやろ。
by yaliusatII
| 2007-04-13 23:57
| 映画
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